当科の紹介
埼玉医科大学総合医療センター・脳神経外科では、「患者さんにとって最良の結果をだす」ことを最大の目標として、毎日の診療を行っております。脳腫瘍、脳動脈瘤、バイパス術、内頚動脈内膜剥離術(CEA)、三叉神経痛・顔面けいれんの治療に積極的に取り組んでいます。脳腫瘍に関しては、成人・小児の全ての脳腫瘍に対して、開頭術あるいは経鼻内視鏡下手術を駆使して、対応が可能です。髄膜腫・聴神経腫瘍・下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫などの良性脳腫瘍、およびグリオーマ(神経膠腫)、小児脳腫瘍、には特に力を注いでおり、豊富な手術経験に基づいて良好な成績をあげています。また、脳血管障害に関しては、従来の開頭術に加えてカテーテルを用いた低侵襲の血管内治療を積極的に行っています。また、地域の脳卒中救急の要として脳神経外科・神経内科が協同する脳血管センターによる急性期血栓溶解療法の体制を敷いています。脊髄脊椎疾患でも変形性頚椎症・変形性腰椎症に加えて、当科の特色としては脊髄腫瘍の治療数が多いことがあげられます。
当科は、「患者さんやご家族の身になって最新の治療方針をわかりやすくお示し、最適の治療結果を提供する」ことができるように、手術技術の研鑽と新たな知識の習得に日々努めています。
現在は、脳神経外科専門医9名、脳神経外科指導医6名、日本脳神経内科学会専門医1名、日本脳神経内科学会指導医1名、脳血管内治療認定医3名(うち2人指導医)、脳卒中の外科技術認定医3名、日本神経内視鏡学会認定医3名、日本脊髄外科学会認定医1名、日本脊髄外科学会指導医1名、脳神経外科専攻医4名を含む総勢14名が24時間体制で緊急の患者さんに対応しております。
当科にはいくつかの専門外来があります。血管内治療外来、髄膜腫外来、聴神経鞘腫外来、頭蓋底腫瘍外来、未破裂脳動脈瘤外来、頚動脈狭窄症外来、三叉神経痛・顔面けいれん外来、脊椎脊髄外来、などです。詳細は下の外来担当医表をご参考にしてください。
診療実績
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2023年 |
◎総手術件数 |
672件 |
手術内訳 |
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〇脳血管障害総数 |
332 |
脳動脈瘤クリッピング術 (うち未破裂脳動脈瘤) |
32 (8) |
脳動静脈奇形摘出術 |
7 |
内頚動脈内膜剥離術 |
8 |
脳内血腫除去術 |
37 |
血管吻合術 |
19 |
血管内手術総数 |
194 |
動脈瘤コイリング術 (うち未破裂脳動脈瘤) |
68 (32) |
脳動静脈奇形塞栓術 |
15 |
脊髄動静脈奇形塞栓術 |
0 |
頚動脈ステント術 |
15 |
急性期血栓回収・形成術 |
84 |
〇脳腫瘍総数 |
101 |
開頭脳腫瘍摘出術 |
65 |
内視鏡下経蝶形骨洞的手術 |
18 |
脳腫瘍生検術 |
18 |
〇脊髄疾患 |
4 |
脊髄腫瘍 |
2 |
〇外傷性疾患総数 |
108 |
〇神経血管減圧術 |
19 |
〇神経内視鏡手術 |
32 |
〇先天奇形に対する手術 |
3 |
〇水頭症に対するシャント術 |
45 |
当脳神経外科は、全ての脳腫瘍に対して対応しており、一般の病院では治療の困難な手術難易度の高い脳腫瘍の患者さんや、放射線あるいは化学療法などの手術と併せて行ういわゆる“集学的治療”が必要となる患者さんも、積極的に受け入れています。総合病院ですので、ほかの内科・外科・耳鼻科・眼科・形成外科・放射線科などとも積極的に提携し、総合的な最新の治療を受けることが可能です。また、治療リスクの高い脳動脈瘤に対する開頭手術、あるいは脳動脈瘤や頚動脈狭窄症に対する低侵襲なカテーテル治療を治療の豊富な治療実績を有しています。さらに、地域の脳卒中診療の要として24時間いつでも緊急開頭術・緊急カテーテル手術が行える体制をとっています。
そしてわれわれが最も大切にしているのは、心の通った診療をこころがけること、なるべく多くの方々にご満足いただけるように「自分の家族だったらどのような治療を受けたいか」という原点を大事にすること、です。
脳血管障害を疑う救急患者さんに関しましては、ご連絡いただきましたら迅速に対応いたします。
また、脳神経外科領域のなかでも特に当科が専門とする、
- 脳腫瘍=髄膜腫、聴神経鞘腫、グリオーマ(神経膠腫)、頭蓋咽頭腫、下垂体腫瘍、脊索腫など
- 脳動静脈奇形
- 頭蓋内動脈狭窄症、頚部頚動脈狭窄症
- 成人・小児もやもや病
- 三叉神経痛や顔面けいれん
- 脊椎脊髄疾患
を疑う患者さんがいらっしゃいましたらお気軽にご相談いただけましたら幸いです。当科は地域の医療機関と緊密な連携をとってまいりたいと考えております。受診後は詳細にご報告させていただきます。
当教室では、随時、クリニカルオブザベーションや説明会を行っています。「臨床・研究」に偏りがちな大学病院ですが、当科は「育成」をきわめて重要な使命と位置づけています。
そのようななかで、
- 実際に手を動かしたり治療に参加したりする機会が十分にあること
- カンファや抄読会、あるいは日々の診療においても、教育熱心であること
- いわゆる大学病院にありがちな、若い医師が雑用のみに忙殺されるというようなことが決してないように配慮すること
を心がけています。さらに当科の特徴として、髄膜腫・聴神経鞘腫・頭蓋咽頭腫・下垂体腺腫などの手術難易度の高い頭蓋底腫瘍、神経モニタリングを駆使した高い摘出度と合併症の少ない神経膠腫の手術、治療の難しい血管性病変に対する開頭術・血管内手術、脊椎脊髄病変に対する安全性の高い手術、などがあり、こうした分野に興味のある若い方にとってはうってつけの、活気のある施設です。
また臨床研究活動も活発です。埼玉医科大学付属病院の第1解剖学教室と連携し複数の研究を行っています。医局員の博士号取得に鋭意努力しているとともに、脳神経外科医師あるいは学生に向けた解剖の講義も行っています。こうした手術を中心とした脳神経外科診療に興味のある研修医の方あるいは医学生の方がいらっしゃいましたら、ぜひ当科(smc_nogeアットマークsaitama-med.ac.jp)までご連絡ください。
第5回ISCVD (International Seminar of Cerebrovascular Disease)、2005年
第18回日本意識障害学会、2009年
第29回スパズムシンポジウム、2013年
第37回日本CI学会、2014年